2015年12月23日(水)のNHKまちかど情報室は、「まちかど情報室スペシャル」
テーマは、「大人も魅了!おもちゃ開発 最前線」というテーマでした。
明日はクリスマスイブ。
子どもたちが楽しみにしているのは、プレゼント。
おもちゃが主役ですね。
しかし、おもちゃ業界では大人も楽しめる、ということが重視されているようです。
まちかど情報スペシャルでは、今年開発されて販売されたおもちゃを取り上げていました。
●投球も浮く、野球盤=「野球盤 3Dエース モンスタースタジアム」
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「これ、当たると気持ちいいですね。」
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年々進化を続けている野球盤。
ついに投球も浮くようになりました。
玩具業界では、大人向けを強く意識してるようです。
日本玩具協会 専門委員 伊吹さん
「大人にも喜んでもらえる提供していかなければいけない。
非常に精巧なものや、新しい技術を盛り込んだものも増えている。」
●カメラ付きヘリコプター=「ナノファルコン デジカム」
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最初の状態では、カメラに見えましたが、そこからレンズを取り出すことが出来ます。
さらに、そのレンズの周りの部品を広げていくと、ヘリコプターになりました。
取り外された箱状の部分は、コントローラになっていました。
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レンズが飛んでいるという感じでした。
操縦する楽しみ、見る楽しみがありますね。
●スカイダイビングをしている人の目線の映像が体験できる=「BotsNew(ボッツニュー)」
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首を振ると映像がついてくるというところが、大きな特徴です。
あたかもその空間にいるかのような感覚が、味わえます。
体験した上條アナウンサー、「臨場感たっぷりです。」
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スカイダイビングだけでなく、ジェットコースターなどの専用動画が楽しむことが出来ます。
「没入」してしまう、とのことでした。
おもちゃ開発・最前線
●大人もラーメン作りに夢中=「極麺づくり」
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創業53年の玩具メーカー、「メガハウス」で商品開発をしている飯田さん。
ユニークな見た目のおもちゃに混ざって並べられているのは、調理ができるおもちゃ。
ドーナツを手づくりできるというおもちゃ、キッチンマルシェシリーズ カラフルシュガードーナツ
。
(おそらく、ヒット商品なんだと思います。)
これまでは幼い女の子に、手軽にスイーツを作ってもらおうというものが多かったそうです。
今年は新しいジャンルに挑戦。
大人も楽しめる、ラーメンです。
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お父さんやお母さんも一緒に楽しんでもらうことで、市場拡大できると考えたそうです。
このおもちゃの最大の特徴は、生地を簡単につくれることです。
生地を伸ばすのは、ハンドルを回すだけでできます。
カッターをつけて回せば、麺になって出てきます。
製品化するまでには苦労がありました。
麺の食感が良くなかったそうです。
そこで、幅広い年齢層から支持を受けている人気ラーメン店に教えを請いに行きました。
東京池袋、大勝軒です。
店主、飯野さん。
ラーメンの神様と言われた先代の店を引き継いだ、二代目。
「極麺づくり」で作ったラーメンを一口食べて、コシのなさが弱点だと指摘。
生地を折って伸ばすことを繰り返せばコシが出ることを教えてくれました。
一気にレベルアップしたそうです。
「ここまで本格的できると思っていなかったので、、、。
うちも商売やりづらくなっていきます。」
このおもちゃで実際にラーメン作りを楽しんでいるFさんご一家。
休日は、お父さんが誘ってラーメン作りをしているそうです。
「遊んでる感覚でできるので、子供たちも面白がってやるもので、楽しいかなと。」
けがをしないような配慮も十分されていて、面を切るカッターはプラスチック製です。
●おもちゃのリニアモーターカー=「リニアライナー 超電導リニア」
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本物と同じように地面から浮いています。
しかも、スピード感があります。
スケールスピードでいうと500キロ超えてるそうです。
実際に吹いてこれだけのスピードが出せるおもちゃは、世界初。
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世界初のおもちゃを作ったのは、老舗玩具メーカー。
出迎えてくれたのは、作務衣姿の富山会長。
タカラトミーです。
リニアモーターカーのおもちゃ製作の支持をしたのが、この会長。
この会長の言葉が印象的でした。
「もう、長年の夢でしたから。
他社に出されたら、悔しくて仕方がないという思いがあって、完成させろ!と。」
この会社が鉄道のおもちゃを作り始めたのは56年前。
最初は手で転がすものでしたが、その後、電池で動かせるように進化。
寝台車や新幹線など、時代に合わせて生み出し爆発的なヒットを記録しました。
夢の乗物、リニアにもいち早く挑戦しましたが、なかなか実現しませんでした。
タイヤを透明にして浮いてますよ見せるようにしたものを20年前に作りました。
東京でのオリンピック、パラリンピックの開催が決まって、その時にリニアモーターカーに注目が集まりました。
2020年までにリニアを実現させようという声が一瞬上がりました。
その時に富山会長は、あと6年しかないと思ったそうです。
実際にリニアモーターカーの開業は2027年ということになりましたが、今こそ、ちゃんと浮いて走るリニアモーターカーを作りたいということで、指示を出したのです。
開発を任されたのは井上さん。
9年前から鉄道のおもちゃを担当しています。
井上さんの代表作は、今まで1台しか走れなかったレールで、2台走れるようにしたシリーズ。
ヒットしました。
井上さん、最初は”リニアは無理だ”と思っていたそうです。
それでも、やってみることに。
大きなホームセンターでありったけの磁石を買ってきました。
まずは浮かせなければなりません。
レールに棒状の磁石を使います。
車両の四隅にも磁石をつけて、それぞれの磁石が同じ極同士で向き合うようにして反発力で置かせます。
進む時はレールの間にある丸い磁石を使います。
車両にあるコイルに電流を流し、磁力を帯びさせます。
同じ極同士で反発する力を生かして前に進みます。
この繰り返しで加速するという仕組みです。
最初の壁は、浮く高さが一定ではなく、バタバタしてしまうこと。
レールの磁石は、場所によって強さにばらつきがありました。
視力が強いところでは車両が浮きすぎ、弱いところでは沈み込んでしまいます。
安定して走らせたいと、2ヶ月で30種類ほどの磁石を試しましたが解決しません。
行き詰まった時に、何気なく目についたのがホワイトボードの細長い磁石。
試しに調べてみると、一つの面でS 極とN 極に別れていました。
これを試してみようと思いました。
これまではN 極だけの反発で浮いていたため、二つの力で支える形になっていました。
磁石の向きを変えて、N 極と S 極それぞれの反発を使えば、四つの力で支えることになり、車両が安定して浮くことがわかりました。
やっとできたと思って、会長に見せたところ酷評だったそうです。
「なんだ遅いじゃないか。」
この時のスピードはおもちゃの新幹線より遅かったそうです。
どうしたら、本物のリニアモーターカーのように速く走れるか。
井上さんが相談したのは、社内の知恵袋、おもちゃ職人の清田さん。
勤続38年。
清田さんは、各車両の同じ位置に配置されているコイルの位置を変えるようにアドバイスしました。
コイルの設置場所が一緒だと、すべての車両が同時に磁石からの反発力を受けることになります。
しかし、これでは、すべての車両が反発力を受けない瞬間も出てきてしまいます。
これに対し、コイルの位置をずらすと、車両のうちのどれかが必ず反発力を受けることになります。
この結果、着実に加速し続けます。
開発を始めてから半年。
ついに夢の500キロを実現することができました。
清田さん 「常識にとらわれず、下は発想でこっちも試してみようかとか。
新しいものなのでいろんな工夫をしないとうまくいかない。」
「東京おもちゃショー2015」では、
多くの大人たちの視線を釘付けにしました。
最も革新的なアイディアに贈られる、イノベイティブ部門で大賞を獲得しました。
実際にリニアを見たここともある、お父さん、
「本物を見てるんで、なおさら本物に近いなというのがあります。」
これから、スピードをコントロールできるようになっていきたいということでした。
これが、完成ではなくてスタートだそうです。
おもちゃなので、値段が高騰しないように、地道な努力を続けてきたそうです。
会長は、「これからもハッとするようなものを作っていきたい。」ということでした。
楽しみです。